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自分がプレシアの娘の紛い物であり、母親から全く愛されていなかったことを知らされ、フェイトが放心状態で崩れ落ちる。それをアルフが抱きとめ、慌てて医務室へと運んでいく。 アースラブリッジは、一気に騒然となる。 時の庭園から膨大な次元エネルギーが放射されている。このままでは大規模な次元震が起きるのは時間の問題だ。 さらに庭園内には八十体以上の傀儡兵が出現し、送り込んだ部隊を足止めしていた。 「僕が行きます」 「クロノ、その体じゃ無理よ」 「部隊の指揮くらいなら執れます。行かせてください」 クロノは強い決意を込めて言った。とても止められそうな雰囲気ではない。 「わかりました。出撃を許可します。ただし無茶をしたら駄目ですよ」 クロノが頷き、時の庭園へと転送されていく。 「私たちも行かせてください」 「かたなし君を助けないと」 なのはとぽぷらが名乗りを上げる。魔力は回復してもらったが、疲労や負荷は残っている。万全の状態には程遠い。 「エイミィ。彼女たちを投入した場合の作戦成功率は?」 「好意的に見積もっても二十パーセントもありません」 「駄目です。そんな危険な作戦に、あなたたちを投入するわけにはいきません」 リンディは首を振る。 クロノの弱体化がここでも影響していた。本来のクロノならば一部隊に匹敵する働きができるのに。 「せめて、後一部隊あれば……」 「何とかなるかもしれません」 発言したのはユーノだった。 「どういうこと?」 ユーノは空中にワグナリア近辺の地図と、ジュエルシードが発見された位置を投影する。 「前から疑問に思っていたんです。どうしてジュエルシードはワグナリアに引き寄せられたのか」 「それは小鳥遊さんに引き寄せられたって……」 「それだと辻褄が合わないんです」 夏休みの今、小鳥遊が一番長い時間過ごす場所は自宅だ。なのに、小鳥遊家に引き寄せられているジュエルシードはない。 「つまりワグナリアには小鳥遊さん以外にも引き寄せる要因があったんです」 「あっ」 ぽぷらがあることを思い出した。ユーノが頷く。 「確証はありませんし、かなりの危険を伴います。でも、鍵はワグナリアにいます」 ユーノは地図上のワグナリアを指差した。 時の庭園内に、ワグナリアの制服を着た女が転送されてくる。赤縁の眼鏡に激しくカールした前髪、松本麻耶だった。何故か荒縄で拘束されている。 「って、ここどこなのよー!」 松本は混乱した様子で叫ぶ。 通路はところどころ壊れて赤い空間がのぞいている。おどろおどろしい赤色は、まるで怪物の口の中のようで不気味だった。全ての魔法がキャンセルされる虚数空間と呼ばれる場所で、落ちれば重力の底まで真っ逆さまだ。 残された床には、西洋の甲冑に似たデザインの傀儡兵が徘徊していた。 「落ち着け、松本」 「佐藤さん、いきなりこんなとこに連れてきて――!」 松本は縄の先を握る佐藤を見て、絶句する。セーラー服を着たぽぷらの肩に、手の平サイズの佐藤が乗っていた。 松本たちを発見した傀儡兵が襲いかかってくる。 「必殺ぽぷらビーム!」 ぽぷらが木の枝から光線を放ち、傀儡兵たちを倒していく。 松本は頭を抱えてしゃがみこんだ。 (違う。こんなこと現実にあり得るわけがない。そう、これは夢よ!) 人間が小さくなったり、木の枝から光線が発射されたり、ロボットが歩いていたり、全部夢だと思えば納得できる。 「…………って、納得できるかー!」 松本が一転して怒りの咆哮を上げた。 「普通な私の夢が、こんな普通じゃないはずがない! 私の夢なら、もっと普通になりなさいよ!」 佐藤が松本の巻き毛にジュエルシードを差しこむ。その瞬間、不可視の領域が松本を中心に発生した。 傀儡兵の動きが格段に鈍くなり、ぽぷらと佐藤の変身が解ける。 「成功だよ、佐藤さん!」 「さすがだ。普通少女麻耶」 ぽぷらのハイタッチを受けながら、佐藤が感心したように呟く。 佐藤が松本から回収したあの日、ジュエルシードはすでに発動していた。松本の能力は普通フィールドの展開。その領域内では、あらゆる魔法、超常現象が無効化される。 佐藤たちは知らずに普通フィールドに踏み込み変身を解除されたのであって、ぽぷらが気をきかせたわけではない。 ジュエルシードをワグナリアに引き寄せていたもう一つの要因は松本だった。小鳥遊同様、松本の普通じゃないほど普通を願う気持ちがジュエルシードを上回ったのだ。 ロストロギアを超える欲望を持つ人間が二人もいるとは、さすがにワグナリアは変態の巣窟だ。案外、探せば他にもいるのかもしれない。 しかし、さすがに傀儡兵の存在自体は消滅させられないし、普通フィールド内では味方も魔法を使えない。 「出番だぞ」 佐藤の言葉に反応するように、釘バットが手近にいた傀儡兵を屠る。魔法防御がなくなり、関節部分がかなり脆くなっている。これなら普通の人間でも倒せるだろう。 「こいつらか。うちのバイトを誘拐した不届きな連中は」 残骸をハイヒールで踏みつけ、白藤杏子が釘バットを肩に担ぐ。 「そうだ。救出を手伝ってくれたら、一カ月間、好きな時に飯を作ってやる」 「その約束忘れるなよ、佐藤」 真横から傀儡兵が槍で杏子を狙う。しかし、槍が届く寸前で胴体を両断される。 「ふふふふ。杏子さんに手を出す輩は、全て八千代が抹殺いたします」 危険な妖気を漂わせ、八千代が日本刀を構えていた。 杏子も八千代も、怪しげなロボットたちが動き回るこの状況にまったく違和感を抱いていない。杏子は細かいことに拘らない性質の上、ご飯が一番大事だし、八千代にとっては杏子の敵を倒すことだけが重要なのだ。 「もう少し時間があれば、陽平と美月も呼んだんだがな」 杏子が軽く舌打ちする。杏子の舎弟たちの名前だ。 「ね、ねえ、種島さん、こいつら何なの!?」 伊波がおろおろと周囲を見渡す。伊波は前の二人のようにはいかなかったようだ。 「かたなし君を助けるためだよ。伊波ちゃん頑張って!」 「む、無理だよ。こんなのと戦うなんて……」 佐藤は伊波からなるべく距離を取り、メガホンを口に当て、決定的な一言を放った。 「伊波、あいつら、全部男だぞ」 「いやあああああああああああああ!」 伊波の拳がまるでブルドーザーのように傀儡兵を粉砕していく。 伊波の横では酒瓶を抱えた女が泥酔状態で戦っていた。小鳥遊梢だ。 「また振られたー!」 梢は泣き喚きながら、繰り出される武器を千鳥足でかわしながら近づいていく。梢は傀儡兵をつかむと、頭を、腕を捻じ切っていく。合気道講師らしいが、酔拳使いにしか見えない。 「こうなったら、とことん暴れてやるー! 後、宗太にお酒いっぱい買ってもらうー!」 松本と一緒に、店にいた腕の立つ連中を集めてきたのだが、思った以上の大活躍だった。できれば、恭也と美由希も連れて来たかったのだが、残念ながらまだ店に来ていなかった。 あっという間に、通路にいた傀儡兵たちはすべて残骸に変わっていた。 「じゃあ、後は任せた」 いつでも連絡が取れるよう通信機を杏子に渡す。ここから先、佐藤とぽぷらは別行動だ。 奥から、新たな傀儡兵の軍団がやってくる。 「よし、お前ら、行くぞ!」 明日のご飯の為、杏子は釘バットを振りかざして敵に挑んで行った。 チーム・ワグナリアの破竹の快進撃を、ブリッジでリンディが呆れたように眺めていた。傀儡兵の掃討は、彼らとクロノたちに任せていいようだ。 「なのはさん、出撃の準備をして」 「はい」 リンディに言われ、なのはとユーノが転送装置へと向かう。 情けない話だが、現在のアースラの戦力でプレシア捕縛の可能性があるのは、なのはたちくらいだろう。もしもの場合は、リンディがバックアップするつもりでいる。 「待って。私も行く」 フェイトがアルフを連れてブリッジに入ってくる。放心状態で医務室に運ばれたはずだが、瞳に強い意志の輝きが戻ってきている。 「フェイト、いいのかい?」 アルフが心配そうに尋ねる。フェイトが行けば、プレシアと対峙することは避けられない。アルフはこれ以上、フェイトに辛い思いをして欲しくなかった。 「うん。宗太さんを……みんなを助けたい。なのはたちの……友達の力になりたい。それに、母さんともう一度会わないといけないから」 この世界で出会った人たちの顔を一人一人思い出す。変わった人が多かったが、誰もがフェイトに優しくしてくれた。このまま次元震が起これば、小鳥遊家やワグナリアのみんなまで死んでしまう。そんな結末は絶対に嫌だった。 「上手くできるかわからないけど」 フェイトがバルディッシュに魔力を注ぎ込むと、破損していた個所が修復されていく。 「フェイトが行くなら、もちろんあたしも行くよ。あの男には色々借りもあるしね」 アルフが指をパキパキと鳴らす。 「行こう、みんな」 バリアジャケットを装着し、フェイトはなのはたちを振り返る。 「よーし! 伊波ちゃん以来の共同戦線だね」 ぽぷらが張り切ってポーズを決める。 「ポプランポプランランラララン、魔法少女ぽぷら参上!」 「魔法少女リリカルなのは見参!」 「……フェ、フェイト・テスタロッサです」 ノリノリでポーズを決める二人の横で、フェイトがぺこりとお辞儀をする。 「フェイト。付き合わなくていいよ」 「えっと、そうしなきゃいけないのかと思って」 頭痛を堪えるアルフに、フェイトは照れながら弁解する。 佐藤が全員を見回して宣言した。 「さあ、選ばれし三人の魔法少女たちよ。今こそ魔王を倒し世界を救うのだ!」 「佐藤さん、ちょっと違うよ!?」 ぽぷらがつっこむ。むしろ魔王の救出が目的のはずだが。 「とりあえず出発しましょうか」 間抜けなやり取りに脱力しながら、ユーノが時の庭園へと転送魔法を発動させた。 時の庭園で激戦が繰り広げられている中、もう一つの戦場が地上にあった。 「8卓、カレーとチキンドリア、お子様ランチです!」 切羽唾待った様子で美由希が相馬に告げる。 「高町君、次は肉とキャベツ切って。千切りね!」 相馬が二つの鍋を火にかけながら叫ぶ。 「なずなちゃん、ラーメン、2卓へ」 「山田さん、パフェ三つお願いしますね!」 料理を運ぶ途中で、なずなが山田に言う。 「山田は、山田は混乱しています!」 山田が生クリームとアイスの箱を持ちながら右往左往する。 主なメンバーが不在の今日に限って、ワグナリアは満席だった。しかも注文も時間がかかるものばかりだ。 恭也はまだ一人で料理が作れるほど習熟しておらず、相馬は丁寧に調理をするので、あまり速い方ではない。手際のいい佐藤の不在が特に痛かった。 「相馬さん、他のスタッフの電話番号知らないんですか?」 「もちろん知ってるけど、俺の権限で呼べるわけないよ!」 「相馬さんの役立たず!」 山田は半泣きで喚く。泣きたいのは相馬も同じだった。 「とにかく、もう少しだけ辛抱して!」 「まずいよ、お客さん、だいぶ怒ってるよ」 美由希が客席を眺めながら言った。長時間待たされて爆発寸前のお客さんがちらほら見受けられる。美由希となずなの二人でどうにか抑えてきたが、さすがにこれ以上は難しい。 クレームが来た場合、店長かチーフが応対するのが常だが、今は誰もいない。ばれたら、店の存続に関わるかもしれない。 その時、従業員入口を通って、一人の男性が入ってきた。山田の顔が歓喜に輝く。 「音尾さん!」 「よかった、間に合った!」 「ちょうど近くを旅していてよかったよ。相馬君、苦労をかけたね」 ネクタイを締めて髪をオールバックにした穏やかな風貌の男性だった。この店のマネージャー、音尾兵悟だ。佐藤が杏子たちを連れて行った時に、念のため連絡しておいたのが功を奏したようだ。 「とりあえず呼べるだけの人員を集めてきたから」 どやどやと制服に着替えたスタッフが入ってくる。旅行や遊びから帰ってきたばかりのパートのおばさんと他のバイトたちだ。 「でも、お客さんが……」 「僕に任せて」 音尾は客席へと歩いて行き、一人一人に料理が遅れていることを謝罪していく。中には食ってかかる客もいたが、音尾の穏やかさと誠実さに、店内の雰囲気が徐々に落ち着いていく。 「すごい」 恭也と美由希が感嘆する。店をほったらかしにする無責任な男と思い込んでいたが、仕事はかなりできるようだ。 「どうです。山田のお父さん(予定)はすごいでしょう!」 山田が鼻息も荒く威張り散らす。予定とはどういう意味か問い詰めたい気もしたが、もはや恭也には気力が残っていなかった。 仕事が一段落し、キッチンもフロアも落ち着きを取り戻していく。 相馬たちは仕事をパートの人たちに任せ、休憩に取ることにした。山田は休憩室に入るなり机に突っ伏して眠ってしまう。よほど疲れたのだろう。 「山田さん、仮眠取るなら屋根裏に行った方がいいよ。山田さん?」 相馬が揺するが、山田はすでに夢の世界へと旅立っていた。 そこに音尾がやってくる。 「相馬君、本当に大変だったね」 「はい。それで店長のことなんですが……」 「言わなくていいよ。白藤さんのことは信じてるから。どうしても店を空けなければならない理由があったんでしょ?」 音尾が仏のような笑顔を浮かべる。あまりの眩しさに相馬は少しめまいを感じていた。 十個のジュエルシードが膨大なエネルギーを放っている。中心には、小鳥遊がはりつけにされていた。 「もう少しよ。待っていて、アリシア」 アリシアの入ったポッドに愛おしげになでながら、プレシアは小鳥遊に目をやる。 暴走させたエネルギーを小鳥遊に注ぎ込み結集させて撃ち出す。これで次元に穴を開け、アルハザードへの道を作ることができるはずだ。 エネルギーの充填はもうじき終わる。 プレシアが激しく咳き込んだ。 「こんな時に……」 体から力が抜けていく。いつもの発作の比ではない。足から力が抜け、ポッドに寄りかかるようにずるずると崩れ落ちていく。 「私はまだ死ねない。死ねないのよ」 しかし、咳は止まらず、大量に喀血する。プレシアはジュエルシードに手を伸ばし、そこで意識を失った。 通路を埋め尽くす傀儡兵たちをユーノとアルフのバインドが拘束する。 「必殺ぽぷらビーム!」 「ディバインバスター!」 二条の光線が傀儡兵たちを消し飛ばす。 「なのは、大丈夫?」 片膝をついたなのはを、ユーノが気遣う。連戦に次ぐ連戦に、なのはの疲労は極限に達しようとしていた。 「こっちは一目瞭然だな」 と、佐藤。 ぽぷらの身長は普段の三分の一になっていた。行使できる魔法も後わずかだ。 クロノが率いる局員たちは暴走している駆動露の鎮圧へ、チーム・ワグナリアは傀儡兵との戦闘を続けている。 『敵、増援!』 エイミィの切羽詰まった声、 通路に新たな一団が押し寄せてくる。 「どれだけいるんだ」 佐藤が舌打ちする。 「なのは、みんな、伏せて。サンダースマッシャー!」 巨大な稲妻が、なのはたちの頭上を通り過ぎ傀儡兵をなぎ倒す。 プレシアの待つ中枢部は目と鼻の先だ。壁をぶち破り、なのはたちはプレシアの部屋へと突入する。 プレシアがポッドに寄り掛かるように倒れていた。 「母さん!」 駆け寄ったフェイトが抱き起こすと、プレシアは浅い呼吸を繰り返していた。まだかろうじて息がある。 『次元エネルギー、さらに増大!』 エイミィが悲鳴を上げる。リンディまで出撃し次元エネルギーを抑えているが、もういつ次元震が発生してもおかしくない。 プレシアの制御を失い、ジュエルシードの暴走は手がつけられない状態になっていた。 「フェイトちゃん、封印を!」 「わかった!」 なのはとフェイトが近づこうとすると、発生したエネルギー障壁にはね返される。 「なら、大威力魔法で」 なのはがカノンモードを、フェイトがグレイヴフォームを起動させる。 しかし、 『『Empty』』 二つのデバイスが無情に告げる。ここに辿り着くまでに二人とも魔力を使い切っていた。アルフとユーノも似たり寄ったりの状況だ。 「それなら、スターライトブレイカーを」 大気中に残存する魔力を集めるスターライトブレイカーならば、チャージに時間さえかければまだ撃てる。 「駄目だ、なのは」 ユーノがレイジングハートを押さえる。 「でも」 「これ以上、負担の大きいあの技を使っちゃ駄目だ。残念だけど、スターライトブレイカーでもあの障壁は破れないよ」 「そんな」 なのはががっくりと膝をつく。 スターライトブレイカーが通用しないのなら、ぽぷらビームも同様だろう。 万策は尽きたかに思える。しかし、ユーノの顔に絶望の色はなかった。 「諦めるのはまだ早いよ。大丈夫、僕たちにはまだ最後の希望が残っている」 ユーノがぽぷらを振り返る。 「そうか」 佐藤がユーノの言わんとするところを理解する。ぽぷらが何を代償に魔法を使っていたのか。 「身長だ」 「佐藤さん、了解だよ!」 ぽぷらが木の枝を構える。佐藤がぽぷらの手に手を添える。そして、なのはが、フェイトが、ユーノが、アルフがぽぷらたちの背に手を置いた。 「みんな、みんなの身長を私に分けて!」 全員の身長を魔力に変換し、これまでとは段違いの膨大な魔力が木の枝に集中する。 「超必殺、ぽぷらブレイカー!」 時の庭園を揺るがすような巨大な光線がジュエルシードへと放たれる。しかし、ジュエルシードの障壁を打ち破るには至らない。 「撃ち続けろ!」 全員が凄まじい勢いで縮んでいき、とうとう親指サイズにまでなってしまう。 「とーどーけー!」 ぽぷらが叫ぶ。 その時、エネルギー障壁がわずかに出力を弱めた。ぽぷらブレイカーが障壁を粉砕する。 なのはとフェイトがデバイスを突き出す。 「リリカルマジカル」 「ジュエルシード」 「「封印!」」 ジュエルシードが二つのデバイスへと吸い込まれていき、時の庭園が静寂に包まれる。 『……次元エネルギー反応消失。作戦成功です!』 静寂を破るように、アースラからエイミィと局員たちの喝采の声が届く。 なのはたちはへなへなとその場にへたり込む。もはや立ち上がる気力も残っていなかった。 ふらつくぽぷらを、佐藤が抱きとめた。 「佐藤さん」 「なんだ?」 ぽぷらは佐藤に寄りかかったまま話しかける。 「私ね、ジュエルシードに感謝してるんだ」 「変わった奴だな。これだけ面倒事に巻き込まれたのにか?」 「うん。だってジュエルシードは私の願いを二つも叶えてくれたから」 「二つ?」 おっきくなる以外のぽぷらの願いなど、佐藤には見当もつかなかった。しかもジュエルシードはそれすら叶えていない。 「佐藤さん、私のこと、名前で呼んでくれたでしょ。それから、ほら」 今の状態で、ぽぷらが背伸びすると、佐藤の顔の高さと大体同じになる。ぽぷらは照れたように笑う。 「佐藤さんとつりあう背になること。これが私の願い」 思い切って気持ちを伝えると、佐藤が顔を背けた。 (やっぱり駄目か) ぽぷらは寂しげに目を伏せる。こうなることはわかっていた。ならば、せめてもう少しこのままでいたかった。 「……今度」 佐藤がぽつりと言った。 「…………休みが重なったら、遊園地でも行くか」 激しい懊悩を隠すように、佐藤は手で顔を押さえていた。指の隙間から真っ赤になった顔が覗いている。 「お子様とのデートは遊園地が相場だからな」 「私、子供じゃない……!?」 反射的に叫び返そうとし、佐藤の言葉の意味に気がつく。佐藤につられて、ぽぷらの顔まで赤く染まる。 「さ……」 「何も言うな」 佐藤がつっけんどんに言う。照れ隠しだろう。 「……三つ目の願いまで叶っちゃった」 ぽぷらは心から幸せそうに笑った。 アルフが盛大に咳払いをする。 「いちゃつくのはいいけどね、ここにはお子様がたくさんいるってことを忘れないで欲しいね」 周囲を見渡すと、みんなが赤い顔でこちらを注視していた。 『ごめーん。通信回線も開いたままなんだ』 エイミィが申し訳なさそうに、だが、楽しそうに言った。画面の向こうから局員たちの冷やかす声が聞こえてくる。 「もおおおおおおお! 佐藤さん、時と場所を考えてよ!」 「最初に言ったのはお前だろうが。お前のせいだ」 「二人とも……」 なだめようとするフェイトを、なのはが止める。 「いいの、いいの。これがいつもの二人なんだから」 なのはは心の中でぽぷらたちを祝福する。 時の庭園に、二人の言い合う声がいつまでも響き渡っていた。 目次へ 次へ
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魔法戦記リリカルなのはForceNEXT Design12 最新シリーズヒロイン・リリィ、変貌!銀十字の書の危機を前に、己の使命に目覚めた彼女。この装備は、何を意味する……!? リリィ・シュトロゼック×エンゲージスーツ エンゲージスーツ ECウィルスの「感染源」としての機能をもつリアクトプラグ、シュトロゼックシリーズ。 開発担当者の諧謔として個体名に「花の名」がつけられたこのシリーズの4体目である「リリィ」は、 苦痛からの逃避のために記憶の大半を失った状態でトーマに保護されたため、自身のリアクトプラグとしての性能や「成すべきこと」をも見失っていた。 「エンゲージスーツ」は、誓約者と本来の誓約を行った際にシュトロゼックシリーズが自動装着する装備だが、 開発データが残っているのみで、「完全な形で実働するシュトロゼック」はいまだ確認されていない。 このため機能についてはいまだ類推の枠を出ないが、誓約者(ドライバー)であるトーマの戦闘防護服との共通点が随所に見られる。 リリィ・シュトロゼック 基本的に黒騎士と対象になるようになっています。あと色々と闇の書の意志を意識してみました。 アンダー 背中 ジャケット 金具で留めます メタルジャケット 襟や脇のパーツはトーマのものより小さめにしています 正面から見ると><の形になってます。※ジャケットの胸部分の形です。
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ プロローグ 自分は今、戦場にいる。 戦場とはいっても四角い土俵に立ち、周りには観客がいる。誰が開催したかは知らないが自分は「第二回婆沙羅大武道会」という大会の土俵の上にいる。 いつの間にか決勝戦だ。この試合に勝てば100万石が手に入るという。心なしか我が主の声援も力が入っている。 相手は三日月の鍬形をした兜に蒼き鎧。手に持つは六本の刀。もう一人は前者とは対なるように上半身裸に赤いジャケット。そして手には二本の槍。二人ともこちらに殺気を放ってくる。 一方、自分が手に持つは巨大な槍。先端が回転する槍だ。 世間では自分が持つこの槍のことを「ドリル」と呼ぶ者がいる。関係ない話なのだが。 「試合・・・開始!!」 この騒ぎの中でも審判の試合開始を告げる声がはっきりと聞こえた。 その瞬間二人は自分へと迫る。自分も負けじと槍を構え、横に振るう。彼らは当然のごとく避けた。こんな攻撃が当たらないのはわかっている。 すばやく槍をまた横に振るう。矛先は蒼い鎧の武士。その武士は槍の一撃を受け、かなり後方まで吹き飛ばされる。 次は縦一直線の振り下ろし。次の矛先は赤き武士。しかしその攻撃は防御される。さすがに驚いた。自分の一撃を防御しきれた者を見るのは初めてだ。 「Hey!!敵は一人じゃねぇぜ!?」 後方が異様に暗い。振り向くと先ほどの蒼い鎧の武士が低く構えている。腕が蒼白く光り、稲妻が走っている。 「Hell dragon!!」 腕を前に突き出すと自分の身長ほどもある稲妻の球が迫ってきた。回避行動や防御行動も間に合わず当たってしまった。 体が、浮いた。決して揺らぐことのなかった自分の体が今、宙に舞っている。 硬い土俵の感触を味わうのを許さないがごとく、赤き武士が自分が着地する地点に立っていた。 「千両花火ぃぃ!!」 一つに連結した槍の一撃が顔面に当たる。数回宙で回転してから自分の体が地に落ちた。 その瞬間、自分の中の「青い目盛りみたいな何か」が満タンになったのを感じた。 自分の体を起こし、槍を地面に思い切り刺した。その衝撃で二人の武士は宙に浮く。 自分も宙に浮き、背中から円陣を形成する。 円陣の漢字の一文字が光り、回転を始める。次第に回転が速くなる。 「終わりにしろ!!○○!!」 自分の名を叫ぶ主。無論、そうするつもりだ。主よ、もうすぐその手に巨万の富を掴ませて差し上げます。 だが、異変は起こった。 地面がない。 それは自分の周囲だけであった。しかし皆も突然のことに唖然とする。 自分はこんな地面を無くすほど強大な力を持った覚えはないし、主から聞いたこともない。 地面がなくなったことによって生じた穴は大きくなる。 そして二つ目の異変に気づく。 自分がその「穴」に引きずりこまれている。 どんなに離れようと力を振り絞ってもその穴からは離れられない。 逆にどんどん引き込まれていく。 思わず天に手を伸ばす。しかしその手を掴む者はいない。 「○○!!○○!!」 必死に助けに行こうとするがほかの家来に制止されている主。ああ、あなたに巨万の富を掴ませることができなくて自分が許せません。 こんなところで終わるのだろうか。主、申し訳ございませんでした。 「○○!!」 どんどん遠くなっていく主の声。そして目の前も暗くなり始めた。 しかし、意識が無くなる前に、自分の名前をはっきりと呼ぶ主の声が聞こえた。 「忠勝!!行くな!!忠勝っ!!」 これでお別れかもしれませんね。さようなら、主。 「ただかぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!」 目次へ 次へ
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迷い込んだのは見知らぬ世界。 出会ったのは眼帯のお姉ちゃんと2匹の妖精さん。 そして最後にして最強の星の戦士。 いろんなお友達と一緒に。 私達は旅立つ。 ママを、 妹達を、 助ける為に! 行こう、闇の中心へ。 星のカービィリリカル次元を超えた出会い。 始まるよ。 「はぁッ。行くって決めたけどな、どうすんだよこれから!」 アギトは、チンクとリボンに尋ねた。行くことにはなったもののそのような準備など当然してるハズもなく、お金も持っていない。そもそもミッドチルダの通貨が通用するとも限らないからだ。 「この近くに街があるわ。まずは、そこのいきましょう。」 リボンの提案で近くの街へと向かうヴィヴィオ達。すると、目の前に大きな人影が、ズデーンッと立っていました。 「あ、デデデ大王。久しぶり!元気にしてた?」 「元気にしてた?やなくて何やっとるんや、こんな所で。」 「これから街に行こうと思ってたの。カービィとこの娘達を連れてね。」 「この娘達?迷子か?こんなちっこいガ…アイタダダタ!イタイッイタイからつつくなぁ!」 デデデの腕をナイフで一生懸命つっつくチンク。そりゃ誰でも怒るだろう。 ちっこいなんて言われたら。 「冗談はこれくらいにしといて本当はどうしたんや。」 「それは、その。」 これまでの事を一通り話すリボン。それを聴いてデデデは言った。 「無茶やで!いくら、カービィが付いとるゆうても相手は魔獣やで。そう簡単にはいかんわ。」 「それでも…。それでもこの娘達の大事な人を助けてあげたいの。」 「他ならぬリボンちゃんの頼みじゃからなぁ。分かった。しゃ~ないな、このワシもついてったる。必要な物も準備したるわ。」 「ありがとう!」 「それじゃ、城で準備してくるわ。」 「うん。またね。」 「ポヨッ?」 「デデデが助けてくれるんだって。良かったこれでなんとか…。」 「キャアァァ!」 「カービィ!」 「ペポッ!」 カービィとリボンが急いで向かうとそこではヴィヴィオが魔獣の尖兵である、《ヘビーナイト》に襲われ、チンクとアギトが抗戦していたのだった。 「クソッ!アタシの炎が全然効かねぇ。」 「私の攻撃もだ。どうやらよっぽど強力じゃないと効かないらしい。」 そう、チンク達は劣勢であった。ヘビーナイトにはチンク達の攻撃が効かないのである。アギトの炎は左手の盾で防がれ、チンクのスティンガーは刺さりもせず、爆風も全く効いていなかった。 そして、ヘビーナイトはヴィヴィオへと迫る。 「あ、あぁ…。」 (ママを助けられないまま、死んじゃうの。誰か、助けて) ヴィヴィオがそう思った瞬間、目の前にカービィが現れた。 「おい、死ぬぞあいつ。」 「大丈夫!カービィを信じてるから。」 ヘビーナイトはカービィとヴィヴィオに向けて剣からビームを放った。 「カービィ吸い込んで!」 まっすぐ迫るビーム。当たるか、そう思った瞬間、カービィはビームを吸い込んだ。 そして、飛びあがり一回転するとカービィは、緑の帽子を被り、右手にソードを持った姿、ソードカービィとなったのだ。 「ポヨッ!」 カービィは勢いよくヘビーナイトに突っ込んだかと思うと、右手のソードで次々と斬りつけた。するとどうだろう、チンク達の攻撃をものともしなかった盾にヒビが入り、砕けちった。 「バカな。あのカービィというのは、我々二人分の攻撃力を遥かに凌駕するのか。」 チンクは驚愕した。 無理もない。 ナンバーズの中でも強い方に入る自分とアギトの二人分の威力さえ超えているということなのだから。 「ポーヨオォ!」 カービィは突進した後、空中で一回転して、ヘビーナイトを真っ二つに打った切ったのであった。爆発するヘビーナイト。 ポカーンと立ち尽くしていたヴィヴィオは叫んだ。 「ありがとう、カービィ。」 そこは、ヴィヴィオ達のいる場所より遥かに離れた、とある星、いや闇の中心。 その中にある黒い城であった。 玉座にいるフードを被った存在《クイーン》は、配下の者の報告を聞き、四人の戦士を集めていた。 「ダークメタナイト、そちの部下が倒されたそうだ。」 「滅相もございません。あの程度の力しか無いものは所詮使い捨て。いくらでも使いましょう。」 「うむ。良いな、者共。カービィとその仲間が動き出した。可のものに計画を邪魔されたくはない。仲間と共に皆殺しにせよ!」 『ハッ!仰せのままに!』 黒いローブを纏った。四人の戦士が声高らかに答えた。 「カービィのことそちに任せるぞ、ホワイトデビル。」 クイーンがそういうと、四人の戦士の内のクイーンの左前方にいた戦士から少し高い声が響いた。女だ。 「ハッ!必ずやカービィを仕留めて見せて、ご覧に入れましょう。ホワイトデビルの名にかけて!」 そういうと、女は黒いローブを外した。 その下は、サイドポニーテールに纏められた長い茶髪の髪が舞った。 そう、このホワイトデビルこそ、ヴィヴィオの母親にして機動6課スターズ小隊隊長、高町なのはその人なのだから。 星のカービィリリカル次元を超えた出会い 第一話 「星の願いと絆」 ~fin~ next 第二話 「紅の融合機と青き魔導師」 戻る 目次へ 次へ
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【名前】-Destiny- 【ID】6285QF 【猟団】莫逆乃友→+神鴛狼+→隠居はんた~ズ mixiのプロフ 名前如月 神楽 性別男性 現住所東京都 血液型A型 出身地東京都 趣味音楽鑑賞, 読書, マンガ, テレビ, ゲーム, インターネット 職業大学生・院生 自己紹介ゲーセン・ネトゲに浸りっぱなしな廃人です たまに 『返事がない、ただの屍のようだ……。』 になるのは仕様です。睡眠不足でFA 学校?なにそれ、おいしいの? 主にゲーセンではガンダム関連(戦場の絆や連ザ)系のゲームをやってるね 腕は…一般には負けないと思う ゲーセン→最近いってない 基本マイミク申請きたら大抵は許可しますが、自分から申請はしませんので うーんと…ニートだね^^; あ、別に働いたら負けとかじゃなく、働く必要が無いんだからっ…/// ふろんてぃあ晒すよー 身長153cm体重85kgの性格地雷のデブ 高卒ニートの引きこもり廃人 晒しスレ常駐で何度も逆晒しを食らってる晒し基地外 最大の特徴は身内を裏で晒しまくり叩きまくっている本物のクズ野郎 武器指定部屋主を1乙で晒した基地外晒し厨。グラン=ダオラが反動1でL2状態異常弾が反動小で撃てることを知らない無知 フルFX自慢だけで秘伝防具を一つもフル強化出来てないヘタレ twitter暴言厨http //twitter.com/stellar_destiny 晒されると即効twitterで反応するが叩かれるとtwitterを非公開にするチキン VSチケットを増殖 何らかの方法(ルーター再起動、携帯の場合オフラインモードorネットワーク自動調節)を使いIDを毎回変えて自演をしまくる ラヴィで支援遅い奴をtwitterで暴言吐いた直後晒したクズ ↓チャットログ 支援遅すぎなんだよ死ね なんで2Pずっと怒ってんだよksg 死ね BL入れたわ ラヴィの支援相方をマジキチ呼ばわり ↓チャットログ 支援の相方がマジキチな件
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製作者の視聴者とふれ合う質問コーナー 〈質問〉 魔法少女リリカルなのはは完結するのですか? このラノベのゴールが見当たりません。 〈答え〉 僕にもわかりません。 〈質問〉 なのは・フェイト・はやての中で一番強いのは誰ですか? 教えて下さい 〈答え〉 新房昭之(1期監督)「歴然とした力の差がない限り状況や精神状態で強さなんて簡単に崩れる不安定なものだと僕は思っています。」 都築真紀(原作作者)「ぶっちゃけ一番強いのはそいつらをいつでも殺せる私です」 草川啓造(2・3期監督)「なのはです」 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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THE ARROW OF DESTINY 収録作品:スーパーロボット大戦α [PS/DC] 作曲者:花岡拓也 概要 「それも私だ」 本作オリジナル敵勢力であるゼ・バルマリィ帝国(エアロゲイター)の幹部クラスの戦闘テーマ。曲名は「運命の矢」という意味。 ストーリー終盤で戦うユーゼス(アンティノラ・黒ジュデッカ)やラオデキヤ(ズフィルード)との戦闘アニメで流れる。 特に黒ジュデッカとズフィルードは最終マップのボスとして登場するため、本作のラストバトルを飾る曲にもなっている。 疾走感があると同時にティンパニを強調した威圧感も持ち合わせた楽曲で、強敵と対峙するに相応しいスリリングな楽曲。 同じエアロゲイター繋がりかレビの「MARIONETTE MESSIAH」やイングラムの「虚空からの使者」とは1部フレーズが共通している。 また『第3次α』に登場するエアロゲイターの幹部エツィーラの「魔女は妖艶に踊る」でもこの曲のフレーズが組み込まれている。 OGシリーズでもアレンジされて登場し、『OG1』ではセプタギンのテーマ、『OGs』ではエアロゲイター幹部のテーマとして使用された。 『第2次OG』ではユーゼスのテーマとして直接的なアレンジ「ULTRA ONE」が登場。オーケストラアレンジされてより神々しさが増した。 原曲は『α』のほかに『α外伝』でも使われたが、『α外伝』ではエアロゲイターは登場せず版権キャラのボス戦闘曲として使用された。 ギンガナム(ターンX)やバット将軍(真・ゲッター)、恐竜帝国メカのグダ、メカギルギルガンとの戦闘アニメで流れる。 中でも真・ゲッターに乗るバット将軍のインパクトは絶大で、 「どうだ!? ゲッターロボを敵に回した気分は!!」 のセリフと共にプレイヤーを戦慄させた。 その印象の強さから『α外伝』をプレイした一部の人からは「この曲はエアロゲイターというよりバット将軍のテーマ」とまで言われるほど。 ちなみに『α』で同じく初参戦となった「超時空要塞マクロス」に「運命の矢」という曲が存在するが、当然ながら別物である。 過去のランキング順位 第7回みんなで決めるゲーム音楽ベスト100 796位 みんなで決める初代プレイステーションBGMベスト100 160位 サウンドトラック スーパーロボット大戦α オリジナルサウンドトラック アレンジ
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少年を拾った日 右手に浜辺を、左手に森林を眺め、そして両足は丘陵を踏みしめる。どうにもちぐはぐとした印象を受けるその環境を佐山・御言は横断していた。 ……どういう事態なのだろうな、これは……? 突然の異変だった。夕日の照る中、皇居近くの橋で新庄・運とストロベリートークを交わし、彼女から贈り物を受け取る約束をして、そして学生寮に帰宅した。 なのに気がついた時には、あの暗闇の中で見ず知らずな人間達と共にいた。 そして見た。二人の人間が爆殺される光景を。 ……ドッキリの類ではなかったな、あれは…… あそこで別れた大城達によって拉致され、珍妙な企画に担ぎ込まれたのかと思ったが、どうやらそうではなさそうだ。あの爆音や四散した頭部は、そして周囲の悲鳴は狂言で作れるものではない。 だとすればこの状況は、自分達と敵対する何者かの工作という事か。 ……それも否、か……? 断定はしないが、その線も薄いと佐山は考えている。もしも自分達の殺害が目的ならあの場で殺されていた筈だ。あの男達が言った様に、自分達の同士討ちを狙ったという可能性もあるが。 ……まるでゲームだな…… だとすれば悪趣味この上ないが、と佐山は続けて思う。まあ少なくとも、ゲームに似た仕組みがあるのは事実であるようだった。 背負ったデイバック、この丘陵地帯に飛ばされた時には持っていた物。これが恐らく、“覇王”や“神崎”と名乗った男達のいう支給品なのだろう。 先ほど確認すれば、食糧や地図といった、こうしたゲームには必要な物品が入っていた。中には用途の理解出来ない珍品もあったが、しかし佐山はそれ以上に重要な物を見つけた。 名簿だ。 このゲームに参加した者達なのだろう、数十人の名前が羅列する紙片。その中には幾つかの知人の名もあった。 ……高町、八神、Sf君、ブレンヒルト・シルト…… ハラオウンの名前が二つあったが、おそらく細胞分裂でもしたのだろう、と片付ける事にした。事実、そんな事よりも重要な案件があったからだ。 「――新庄君」 名簿にあった名前、新庄・運切。 自分と正しく対極にある女性と、酷似した名前だ。他人のそら似と片付ける事も出来るが、この状況にあって、その楽観視は危険だった。 「ひょっとしたら、誤認されたのかもしれないな」 或はこちらが本当の名前なのか。 まあそれはさておき、もしもこれが自分の知る新庄であった場合、彼女は非常に危険な立ち場にある。死ぬかもしれない、この状況に。 ……彼女は、引き金を引けない人間だ…… 初めて会った時、そして二度目に会った時、どちらも1stーGの勢力と交戦したが、どちらも新庄は武器の引き金を引く事が出来なかった。この状況でそれは、非常に危険だ。 「助けなければ」 そう思う。彼女には助力が必要だ、と。この才色兼備豪華絢爛完全無欠の代名詞、佐山・御言が。 「待っていたまえ、新庄君……!!」 その意気込みと共に佐山は立ち上がった。デイバックを背負い直し、健脚を立て、丘陵を闊歩する。が、 ……どこへ行ったものか…… 行き先に目星がなかった。ぶっちゃけ新庄の居場所が解らない以上、どこにも目指す場所が無い。 取り合えず遠目に見える市街地を目指して歩き続けてみたのだが、 「……川、か」 丘陵側と市街地側を区切る様に、一本の河川があった。大河という程ではないが、体一つで渡るにしては大きく、また底も深そうだ。横断は断念しざるを得ない。 「何処か、地続きな場所はないものか」 川の一歩手前に立ち、佐山は周囲を見渡してみる。 と、一つの物体を見つけた。 だが生憎とそれは橋でもなければ船でもなく、ましてや浅瀬でもなかった。 「――少年、か」 それは右腕の欠損した少年だった。 ● その少年は、半身を水に浸す様にして倒れていた。 意識が無いのか両の瞼は閉じられ、四肢は脱力した様に伸びきっている。 「否、右腕が無い状態では“三肢”か」 川から引き上げてみた少年は重く、また体温や肌色も芳しくなかった。なにより、右腕の断面からの流血が止まらない。 「出血と痛み、それに疲労、か?」 状況から少年が倒れた原因を類推し、だがすぐに無意味な事だと頭を振る。 ……今考えるべきは、如何にして傷を負ったかではなく、如何にして助けるか、だ…… 佐山にはこの少年を助ける理由は無い。だがそれ以上に、助けない理由が無い。 ……出来る範囲で助かるのならば、それに越した事はないからな…… とはいっても佐山は医師ではない。応急処置程度ならばともかく、右腕の欠損という重傷が相手では、それこそ肩口辺りを縛って出血を抑える程度の事しか出来ない。 そして今の自分は包帯も無ければ糸の類も無い。自分の衣服は繊維の固い制服なので裂く事は出来ない。対抗手段がまるで無かった。 「どうしたものか、な」 末期を見取ってやるか、と佐山は思う。それとも解釈をしてやるか? とも考えて、 「……そういえば」 佐山は、先ほど漁ったデイバックの中にあった物を思い出す。思い至ってすぐにデイバックを下ろし、中を僅かに漁ればそれはすぐに見つかった。 取り出された物、それは右腕の形をした大きな手袋だった。が、その中には機械が詰まっており、腕を入れる事は出来ない。義手の類か? とその時はデイバックに戻したが、 「何か、効果はないものか」 失われた少年の右腕、そして右腕までしかない機械の手袋、この符号で何らかの機能は発揮されないものか。 佐山は手袋と少年の右腕、双方の断面を近づける。その瞬間、 「――っ!?」 突如として、手袋の断面から無数の触手が伸びてきた。否、それは触手ではなく、コードや端子だ。それらが右腕の断面へと群がる。 「ぁ……っ!」 断面から体内に侵入される感覚、それによって少年の表情が苦悶に歪む。そして佐山が手袋を引き抜く、その間もなく手袋は佐山の手から抜け出し、そして少年の右腕と完全に接合した。 「……これは………」 そうして完成したのは、機械の右腕が移植された一人の少年だった。接合が功を成したのか出血は収まっている。 「瞬間移植、という事なのか? IAIの……否、UCATの技術か……?」 突如目の前で起きた怪現象に佐山は類推を巡らせる。以前聞いた話によれば、Gの中には機械に生命を与える概念もあるらしい。それを用いた物か、と。 だが悠長に推測している場合ではなさそうだ、と佐山は思考を断った。 「怪我は腕だけではないのか」 右腕の欠損に気を取られて気付かなかったが、少年の胸部にも異常が見られた。肋骨の損傷、過去に修行と称して与えられた怪我は、佐山にとって馴染み深いものだ。 「――治療が必要だな」 胸部の内臓を守る肋骨、だがそれが折れれば、逆に内臓を傷付ける爪となる。今日明日で治る様な傷ではないが、処置は早い方が良い。 「それにおあつらえ向きの場所もある事だし、な」 面を上げる佐山、その両眼が見るのは一つの施設だ。丁度浜辺が終わった辺りに建つそれは、どうやら病院の様に見えた。 ……仮に病院ではなかったとしても、ある程度の処置を施して安静にする事は出来る…… 右腕に取り付いた義手の事もあるし、と理由を付随させ、佐山は立ち上がる。背にはデイバック、両腕には少年の小さな体躯を抱えて。 「行くぞ、少年」 未だ意識を取り戻さぬ少年に呼びかけ、佐山・御言は病院を目指す。――相手を横抱きにした、いわゆる“お姫様抱っこ”で少年を抱えながら。 【一日目 現時刻AM01 45】 【現在地 H-5 川沿い】 【佐山・御言@なのは×終わクロ】 [状態]健康・少年(ユーノ)をお姫様抱っこ [装備]特に無し [道具]支給品一式・不明支給品0~2個 [思考・状況] 基本 新庄・運切と合流。他の事は後で考える 1.さて、あの病院を目指すか 2.この少年は誰だろうな……? 備考 ※カセットアーム@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダーの機能は“瞬間移植”だと思っています ※ユーノ=スクライアの素性は全く知りません 【ユーノ=スクライア@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは】 [状態]肋骨二本骨折・衰弱・昏睡・カセットアーム@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー(欠損した右腕に移植されています) [装備]無し [道具]無し [思考・状況] 基本 主催者を倒し、この殺し合いを止める 1.………うぅ(魘されている) 備考 ※沖田のバズーカ砲@なの魂が、ユーノの右腕と共にI-6に落ちています。 ※この会場にいるフェイトは、未来から呼ばれたのではないかと考えています。 ※フェイトが二人いる事に気付きました。 ※モロボシ=ダンの名前は知っていますが、どんな人物かは知りません。 ※己の魔力と魔法に、制限がかけられている事に気がつきました ※カセットアーム@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダーの移植に気付いていません 【カセットアーム@リリカルなのはStrikerS+仮面ライダーについて】 ※バトルロワイヤルでの支給品化に際して、右腕に限り、双方の断面を向き会わせれば一瞬で移植出来る様に改造されています。尚、カセットは一切装填されていません。単体での性能は、平均よりも多少腕力と握力が強い程度です。 021 本編投下順 023
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CROSS CHANNEL 暗き空、白き月、張り詰めた気配、漂う死の匂い……その中に、彼らはいた。 【Channel 1st】 月を眺める男。オールバックの黒髪、妖しく輝く青眼。 既に亡き男。人格のコピー。作り物の体。 その名を、アンジール・ヒューレーと云った。 「ここは……?」 自分は確か、セフィロスを引きつけていた筈。それが何時の間にこんな場所に? 答えは、恐らく「プレシア」と呼ばれた女に攫われたから、だろう。 そして、その場景を思い出し、アンジールは歯噛みする。 少女を一人、爆殺した。 今はスカエリッティという犯罪者と行動を共にしている。『夢』や『剣』と共に託してきたつもりだが、アンジールには未だ『誇り』はある。 あのような行為を赦しておけるわけがなかった。 「プレシア……ッ」 不快感を露わにした声。 いきなり殺し合いをしろ、その為に人を集めた……そんな心境は、全く以て理解不能だ。 しかしとて、備えは必要。そばに置いてあったデイパックを拾い上げ、中身を取り出す。 そして名簿を広げ、アンジールは声を上げた。 「クアットロ、チンク、ディエチ……!?」 驚愕――無理もない。 ここにあったのは、アンジールが守ると誓った「妹達」の名なのだ。 「ク……」 それなのに、むざむざとこんな場所まで連れて来させてしまった。こんな殺し合いの場に。 彼女達は強い。ただの人間や、管理局の魔導師に遅れをとるとは思えない。 しかし、それだけでは拙いのだ。この場には、より凄まじい存在がいる。そう、 「セフィロス……」 かつての良き友人、クラス1stのソルジャー、そして、ディエチの腕を切った男。 そんなセフィロスと、彼女達が出会ったらどうなるかは想像に難くない。 そしてプレシアは、「デス・ゲーム」と言った。そんなゲームはワンサイド・ゲームではならない。 あくまでも、均衡足らずとも、最低限、同等の戦力は用意するべき。 ならば、自分やセフィロスに並ぶ人間がいるのも必然。 そんな人間と、「妹達」が出会ったなら、ほぼ確実に殺されるだろう。 そうさせてはならない。 この手にかかるは命。ならば、 「俺が……守り抜く」 それが、アンジール・ヒューレーの、この場での目標。 決意を胸に、デイパックから刀を引き抜くアンジール。 その耳に、聞き覚えのある声が届いた。 【Channel No.4】 月を見上げる少女。茶髪、眼鏡、メガネ姉――メガ姉こと、クアットロ。 やがて視線は手元の紙――名簿へ。 「ゼロファースト、ゼロセカンド、ルーお嬢様に、陛下。チンクちゃんにディエチちゃん……ふぅん」 月明かりは眼鏡に反射され、瞳は伺えない。しかし、口は確かに『笑み』を形成している。 開始のセレモニー。勝手に呼び出され、拘束されたのは遺憾だったが、無力な命を蹂躙したそれは、堪らなく愉快だった。 プレシア・テスタロッサ――中々な催しごとだ。ただし、こんな時でなければ。 「お祭りにお祭りは重ねちゃいけないのにねぇ~~~」 特殊部隊襲撃、「聖王の器の確保」、地上本部の制圧――大事な祭りごとの直前なのだ。こんな余分は困る。 それに、聖王の器までこの場に集められてしまっている。何事かあってはそれこそ一大事だ。 ただし、逆に言えば、この場で確保出来る可能性がある。自分達は三人。そこまで広くはないこのフィールド。手分けをすれば……。 「と、あーらら……通信はできないのぉ」 内蔵された通信機による通信は不可能。まあ、考えれば当然か。 参加者同士で連絡を取り合われては困るというものだ。 『参加者』。 「ふふふふっ」 自然と笑みが浮かぶ。 この場での弱者は何人いるだろう? デバイスを奪われた魔導師は? 魔法も知らないただの人間は? 対する自分達は戦闘機人だ。固有武装を奪われようと、その身に宿るISは健在だ。 そんな状況で、遅れを取るだろうか? とは言っても、実際何が起こるか分からないので、慎重を期すべきだ。そう、特に戦わすして勝つ為に。 この場に管理局員のような人間は何人いるだろうか。即ち、弱者の保護に出る人間は。 この場に弱き人間は何人いるだろうか。即ち、徒党を組む人間は。 そんな人間の中に入り、内から崩壊させることは、どれだけ愉快なことだろうか。 それに、そんな人間と組んだ方が、「聖王の器」と巡り会う可能性は高いだろう。 これで、行動の方針は決定した。後は誰かにコンタクトを取るだけ。 例えそれが「ゲーム」に乗った存在だろうと、問題はない。それならそれで、襲われたことにして、更なる庇護を求めれば良いだけなのだ。 そうして、クアットロは接触を開始した。 【Channel 13th】 月をねめつける男。月光を反射し、闇に浮かび上がる丸眼鏡。左手が顔を押さえており、表情は分からない。 神父、アレクサンド・アンデルセン。 「…………」 無言だが、それは何よりも有言だった。 即ち――怒り。 呼びつけて、殺し合いをしろと言われた。 よりにもよって、教皇庁に、第十三課に、この自分に。 「巫山戯るなよ……薄汚い売女(ベイベロン)。法皇の命令のつもりか? 売女(きさま)が、魔導師(きさま)が、異教徒(きさま)のようなものが?」 そんな舐めくさった真似をされて、ハイそうですか、なんて具合に殺し合いをするほど、アンデルセンは信心の薄い人間ではなかった。 やるとしては自分達十三課、引いては法皇の為。それは変わりない。 その為ならば、異教徒共に手を貸す命令も致し方ないことだと考えている。 この場での自分の役目は、一刻も早くここを抜け出し、法皇の下へ帰ること。 必要とあらば、異教徒共と手を組むことも辞さない。 ……もっとも、相対して殺意を押さえていられるかは別問題だが。 そんな風に、とりあえずの行動の方針は決定した。 ならば一先ずの装備の確認。 あんな売女から配られたものを使うのは屈辱的なことだが、利用出来るものは、全て利用しなくてはならない。 この場から脱出するために。 「グラーフアイゼンか」 アンデルセンの支給品の一つ目は鉄の伯爵・グラーフアイゼン。 使用者は闇の書の守護騎士ヴィータ。アンデルセンの元・同僚、とでも言うべきか。 デバイスを取り上げられたヴィータはどうしているか、とも思うがまあいい。アンデルセンはグラーフアイゼンに力――法術用――を通わせ、起動させる。 攻撃には向かないが、起動程度になら流用は出来た。 「これは……弾薬」 2つ目では、デバイスのカートリッジ、9mmルガー弾など各種弾薬が30発程詰め合わせになっている。 その中からカートリッジを抜き出し、アイゼンへと装填した。 他に、支給品は確認出来ない。どうやらこの2つだけのようだ。 武器の確認が住んだアンデルセンは、次に地図、そして名簿を広げた。 しかし、突然の来訪者により、それは中断する。 ■ 月光の下、二人の非人間が出会う。 一人目――戦闘機人、クアットロから声をかけた。 言いだしは極めて一般的なものだった。殺し合いに乗っているかどうかとか、真っ当な人間が口にすること。 別に目の前の男に危険を感じなかったし、騙すなら武装がないほうが良い――そんな理由で、クアットロは武器を持たなかった。 ISだってある、たかが人間ごときに遅れを取るようなことはない――自身への自信、それ故の慢心。 しかし、そんなクアットロの問いかけに答えず、男は月を見るばかり。 流石に不審に思ったクアットロが行動に移るより先に、男は言った。「今夜は月が綺麗だな」、と。 そして男はデバイスを構えた。月明かりに十字の影を作るそれは、見覚えがあるものだ。 それから男は、「我々の神を侮辱した貴様らに容赦はせんよ」、と口にする。 初対面の筈だが――と言う言葉が浮かぶより早く、クアットロの体が宙を浮いていた。 落下、それから衝撃。そこで漸く認識する。自分は、目の前の男に殴り飛ばされたのだ、と。 倒れ伏すクアットロに、ゆっくりと男が近づく。その過程で男は話す。 何故、クアットロの事を知っているのかを。 曰わく、貴様らに付いての報告は電話で受けた。曰わく、マクスウェルから容姿の説明を聞いた……etcetc。 どれも全くクアットロの身に覚えのない話だが、男に嘘をついている様子はない。 そうしてクアットロの元に辿り着いた男は、四文字の言葉を口にしながらデバイスを振り下ろし――銀色の大きな魚に受け止められた。 この場に乱入したもう一人の男。こちらも声をかけてきた。どうやらこの男もクアットロのことを知っているようだ。 正直わけが分からないが、この男から害意は感じられない。話を合わせておいた方が良さそうだ。 急に襲いかかられただの、知らない相手だのと説明――殆ど事実――その間も切り結ぶ二人。 どちらも戦闘機人に勝るとも劣らない――勝っているのでは、とさえ感じる動き。 しかし、二人とも顔が苦い。まるで本調子では――本調子を発揮できないとでも言うような。 そうして幾たびの応酬ののち、大魚使いはクアットロに襲い掛かった男を跳ね飛ばし、何やら呪文を唱えて、襲い掛かった男を凍結。 それから男は手を取り、クアットロを抱えるとお姫様抱っこでその場から離脱した。 「クアットロ……すまない。遅くなって」 そう告げるアンジールに知る由はない。 目の前クアットロは、自分の知る存在でないと言うことを。 【一日目 深夜】 【現在地 F-5】 【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】健康、消耗中 【装備】レイトウ本マグロ@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER 【道具】支給品一式、ランダム支給品(確認済み:0~2品) 【思考】 基本:妹達(クアットロ、チンク、ディエチ)を守る 1.チンクとディエチを保護する 2.セフィロス…… 【備考】 ※第七話終了~第八話、からの参戦です ※クアットロが自らの知る者でないと気付いていません ※制限に気が付きました 【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】左腕に大ダメージ 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品(確認済:1~3品) 【思考】 基本:この場から脱出する 1.目の前の人間に話を合わせる 2.他のナンバーズともコンタクトをとる 3.聖王の器の確保 【備考】 ※地上本局襲撃以前からの参戦です 「次は殺す、必ず殺す」 凍結から脱出したアンデルセン。 憎々しげに、月夜にひとりごちた。 【一日目 深夜】 【現在地 F-5】 【アレクサンド・アンデルセン@NANOSING】 【状態】健康、消耗中、ダメージ中(回復中) 【装備】グラーフアイゼン(3/3)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、各種弾薬(各30発)、カートリッジ(27/30) 【思考】 基本:この場から脱出する。売女(プレシア)の言うとおりにするつもりはない 1.最後の大隊は鏖 2.異教徒共と化け物共については一先ず保留。ただし殺意を抑えられるか……? 3.脱出に必要な情報を集める 【備考】 ※第九話以降の参戦です ※制限に気が付きました ※クアットロが魔法少女リリカルなのはStrikerSからの参戦とは気付いていません ※グラーフアイゼンはアンデルセンを警戒しています 少女、その想い 本編時間順 狂奔する正義 少女、その想い 本編投下順 狂奔する正義 GAME START! クアットロ - GAME START! アレクサンド・アンデルセン - GAME START! アンジール・ヒューレー -
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地獄島。それは世界的テロリスト『Dr.ヘル』の本拠地。そこでは今、最強の魔神『マジンカイザー』とDr.ヘルの最終決戦が行われていた。 あしゅら男爵の駆る最強の機械獣『地獄王ゴードン』を討ち、そのまま最奥まで踏み込むマジンカイザー。その衝撃でDr.ヘルが玉座までよたよたと後退し、座り込む。 そして今、マジンカイザーの搭乗者『兜甲児』がDr.ヘルの姿を見付け、マジンカイザーを降りて話をしているところである。 「底知れぬ力、卓越した勇気、類稀なる行動力……貴様には力がある。並外れた力だ。 その力を!人類愛や世界平和などという下らぬ物のために、何故使うのだ!」 「何!?」 「ワシは貴様の力が欲しい。どうだ?マジンカイザーとともにワシの片腕となり、思う存分暴れてみぬか? 全世界を、われらの物にしようではないk「断る!」何ぃ!?」 「貴様の仲間になるなんて、真っ平ゴメンだ! おじいちゃんが造ってくれたマジンカイザーを、悪魔なんかに絶対させないぜ!」 即答。この質問の答えなど、初めから決まっていた。 マジンカイザーには色々な人の思いが詰まっている。それをDr.ヘルのような悪党に利用させ、悪魔にしてしまうのは我慢できなかったのだ。 質問の答えを聞き、Dr.ヘルはゆっくりと肩を落として呟いた。 「そうか……やむを得ん、諦めよう……はあっ!」 その「諦める」とは、甲児を味方につけることを諦めたという意味なのだろうか。持っていた杖を鞭のように振るい、甲児へと攻撃を仕掛ける。 甲児は向かってくる鞭を手持ちのビームガンで撃ち落として難を逃れるが、そこで異変が起きた。 それまで立っていた床が跳ね橋のようにせり上がり、甲児を後ろへと転倒させた。 「Dr.ヘル!ああっ!?」 転倒した甲児はすぐに体勢を立て直し、Dr.ヘルにビームガンを向けるが、時すでに遅し。 先程の跳ね橋のような床の下から、一台のロケットが現れ、それがDr.ヘルを乗せて飛び立ってゆく。 爆発を続け、崩壊してゆく地獄島から、脱出しようというのだ。 「フフフフハハハ……また会おう、兜甲児よ! フハハハハハハ!」 「待て! 待ちやがれ!!」 甲児は諦めずにビームガンを構えるが、爆風によってバランスを崩して転ぶ。Dr.ヘルを追うことはもはや絶望的だ。 だが甲児は気付かなかっただろう。この瞬間、Dr.ヘルの脱出も絶望的になったことは。 周囲の爆発。それがDr.ヘルのロケットに誘爆するなどと、予想できた人間はこの場にはいない。ロケットのブースターが誘爆し、脱出不可能になるという事を。 「な、何だと!?」 そんなことは露知らず、甲児は脱出するためにマジンカイザーへと走った。 「ええい、くそっ!」 マジンカイザーのコクピットへと走り、乗り込んでキャノピーを閉じる。 直後、コクピットの位置に爆風が。後一瞬遅かったら間違いなく餌食になっていただろう。 ここにいる誰にも予想できなかった事はもういくつか存在する。 一つは、巨大な爆発に紛れて謎の光が現れたこと。それは小さな光だったが、マジンカイザーを飲み込むのには十分な大きさだった。 もう一つはマジンカイザーが動かなかったこと。これにより、なす術なく甲児とマジンカイザーが光に包まれた。 そして最後の一つは……その光が甲児を異世界へと飛ばしたことである。 これにより、後に『闇の書事件』と呼ばれる事件に甲児を関わらせることになるのだが、今の彼には知る由も無い。 魔法少女リリカルマジンガーK s 第一話『魔神再臨』 第97管理外世界『地球』。ここでの戦いもまた、佳境を迎えていた。 「助けなきゃ……私が、みんなを助けなきゃ……!」 ボロボロの杖を持った少女『高町なのは』が、そう言いながら前へと進む。左腕を押さえているが、怪我でもしているのだろうか。 彼女の周りには緑色の光が。まるでその場所で彼女を守るように輝いている。足元の陣から光が出ているようだ。 空には無数の閃光。舞っているのか、それとも戦っているのか、衝突しては離れていく。 こうなるまでの経緯を話そう。 なのははこの日、いつもと変わりのない生活をしていた。 学校へと通い、友人と談笑し、家で家族と過ごし、裁判を終えて会いにくる友人を待つ。いつも通りの生活。 だが、この日の晩に状況が一変した。 襲撃者『ヴィータ』が張った結界により、閉じ込められてしまったのだ。 その後、愛用のデバイス『レイジングハート』を手に応戦するも、一歩及ばずバリアジャケットを潰されてしまう。 なのははそのまま止めを刺されそうになるが……なのはの友人が、『フェイト・テスタロッサ』と『ユーノ・スクライア』、『アルフ』の3人が助けに現れ、どうにかヴィータを捕らえた。 そしてフェイトが目的を聞き出そうとするが、その前にヴィータの仲間『シグナム』と『ザフィーラ』が現れ、ヴィータを捕らえていたバインドを解除。 そのままシグナムら『ヴォルケンリッター』との3対3の戦闘になり、今に至るというわけだ。 『Master.Shooting Mode,Acceleration.』 半壊状態のレイジングハートが、声とともに光の翼を広げる。比喩表現ではなく、杖から翼がはえたのだ。 突然の事に驚くなのは。いったい何をするつもりなのだろうか。 「レイジングハート……?」 『撃ってください。スターライトブレイカーを』 スターライトブレイカー。それは、なのはの持つ魔法の中で最大の威力を誇る砲撃魔法。 チャージの時間が大きな隙となるものの、それを補って余りある破壊力、そして今の状況で必要な『結界破壊』の能力を持つ。現状の打開にはもってこいの魔法だ。 だが、その破壊力故に負荷が大きく、今の状態で撃ったらそれこそ全壊してもおかしくない。 「そんな……無理だよ、そんな状態じゃ!あんな負担のかかる魔法、レイジングハートが壊れちゃうよ……!」 『撃てます』 それを知っているなのはは当然止めようとするが、やめる気配はない。それどころか自信を持っての「撃てる」発言。 『私はあなたを信じています。だから私を信じてください』 レイジングハートが信じてくれている。壊れる危険性すら顧みず、なのはを信じてスターライトブレイカーの発射を促す。 その様子を見たなのはが目に涙を浮かべ、目を瞑り、そして……構えた。 「レイジングハートが私を信じてくれるなら……私も信じるよ」 なのはが構えると同時に足元の魔法陣が消え、代わりに正面に大きな円形の魔法陣。 そして今も戦っている仲間に念話を送った。 『フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさん……私が結界を壊すから、タイミングを合わせて転送を!』 『なのは!』 『なのは……大丈夫なのかい?』 念話を聞き、それぞれが反応する。 言葉を返さず心配そうな表情をするフェイト、驚いて振り向くユーノ、問い返すアルフ。反応はそれぞれ違うが、なのはを心配しているという点では共通している。 それに対し、なのはは上空にレイジングハートを構えたまま答えた。 『大丈夫……スターライトブレイカーで撃ち抜くから!』 同時刻、この付近のビルの陰に、光とともにイレギュラーともいえる何かが現れた。 鋭角的なデザインをし、黒い両手両足を持ち、胸に赤い翼のような何かがついている。 見る人が見ればこのような感想を持つだろう。「人間サイズのマジンカイザーだ」と。 そして、マジンカイザーのような何か(便宜上『マジンカイザー』とさせていただく)はそのまま立ち上がると、戦場へと歩いていった。胸に『魔』の文字を宿して。 「レイジングハート、カウントを!」 『All right.』 レイジングハートがカウントを始めると同時に、魔法陣の前に桜色の魔力球が形作られる。 『Count 9,8,7,6』 カウントが進むとともに、魔力球もその質量を増してゆく。 ヴォルケンリッター達もそれに気付き、阻止しに向かうが、フェイト達がそれを許さない。 結界を破って転送さえすれば勝ち。ならば時間を稼ぐ必要がある。 それが分かっているからこそ、彼女らはなのはの邪魔をさせないために食い止める。 『3,3,3,3....』 カウントが3で止まる。やはり限界だったのだろうか。声もまるで故障寸前のオモチャだ。 さすがに心配になったのか、なのはが声をかけた。 「レイジングハート……大丈夫?」 『No problem. Count 3,』 なのはの声に反応したのか、レイジングハートが多少持ち直し、カウントを再開する。 『2,1...』 カウント終了も近い。それと同時に撃てるよう、レイジングハートを振りかぶる。 そしていざ放とうというとき、それは起こった。その起こった出来事により、なのはの体制が崩れる。 「なの……は……?」 フェイトは自身の目が信じられないような目でそれを見ていた。 ……それも当然だろう。何せ、なのはの胸から腕 が 生 え て い た の だ か ら 。 血などの類が全く出ていないのが逆に不気味である。 そして、その腕の持ち主であるヴォルケンリッターの一員『シャマル』はというと、遠くのビルからその様子を見ていた。 彼女の目の前には謎の空間の入り口のようなもの。これがシャマルの得意とする魔法『旅の鏡』である。 「しまった、外しちゃった……」 口ぶりからすると、どうやら狙いがずれていたようだ。 旅の鏡から腕を引き抜き、改めて差し込む。それと同時になのはの体から光る何かが。 この光るものこそが、魔法を使うための体内器官『リンカーコア』。それが今、体外に出てしまっているのだ。 「なのは!」 何か分からないがこれはまずい。そう思ったフェイトがなのはを助けるべく、目一杯の速度で飛ぶ。 だが、そうはさせまいとシグナムがフェイトの進路に立ちはだかり、足止めする側とされる側が逆転することになった。 同刻、マジンカイザーはただ前へ、前へと歩いていた。 近くから聞こえる戦闘音に導かれているのか、しっかりと、音の方向を目指して。 歩き、前へと進み、そして視界に何かを確認。その方向へと顔を向け―――― 『Rust tornado.』 その何か―実はそれはシャマルなのだが―へと向けて、数本の竜巻を吐き出した。 「リンカーコア、捕獲……蒐集開始!」 『蒐集』 シャマルの目の前にある開かれた本。そのページの白紙の部分が、シャマルの声とともに大量の文字で埋め尽くされる。 文字が2ページ分埋められると、ページがひとりでに捲られ、次のページにもまた文字が書き込まれてゆく。 そして本の文字数の増加に反比例してなのはの魔力が削られ、リンカーコアが縮んでいった。 ……もうお分かりだろう。なのはの魔力を奪い、それが本のページへと変わっていったのだ。 魔力を奪われて倒れそうになるが、それでも踏みとどまってスターライトブレイカーを放とうと振りかぶった。 『Rust tornado.』 「えっ!?」 異常発生。デバイスのような声とともに、数本の竜巻が唸りをあげて吹き荒れる。 驚きの声を上げ、振り向くシャマル。そのせいでなのは以外の全員の注意が竜巻の方へと向く。 シャマルの眼前には竜巻。蒐集を中断してかわそうとしたが……間に合わない。どう動いても直撃コース。 直撃する。誰もがそう思ったが、そうはならなかった。ザフィーラが間一髪シャマルの前に躍り出て、防御魔法で竜巻――『ルストトルネード』を防いだ。 「ク……大丈夫か、シャマル?」 「え、ええ。ありがとうザフィーラ」 シャマルを守った後、マジンカイザーと対峙するザフィーラ。その後ろでシャマルは思案する。 (あの人(?)……さっきまでこの結界の中にいなかったはず……なのにどうしてここに?) 「ス、スターライト……!」 蚊の鳴くような弱弱しい声。それがここにいる全員に今の状況を思い出させた。 唯一マジンカイザーに注意を向けなかった人物、なのはがスターライトブレイカーを放つべく振りかぶっている。 そう、ヴォルケンリッターはなのはの魔力を奪うため、そしてフェイト達はなのはを助けるためにここにいる。 これを止める必要がある。ヴィータがそう思って動こうとするが、時すでに遅し。 「ブレイカァァァーーーーー!!」 閃光が夜空を駆け抜ける。そして天へと昇り、ヴィータが張っていた結界をぶち抜いた。 気付けば胸から出ていたシャマルの腕も無い。先ほどのルストトルネードの時点で既に蒐集は中断されていた。 そのままなのははレイジングハートを落とし、意識を手放した。 『結界が抜かれた……離れるぞ!』 『心得た』 先ほどのスターライトブレイカーが結界を破ったことに気付き、すぐに念話で指示を出すシグナム。そしてすぐにザフィーラが承知した。 だがシャマルは何か気にかかっているようだ。そしてその気にかかる事を念話で話す。 『シグナム、あの黒い人はどうするの?』 『放っておけ。こちらに仕掛けてきたという事は、おそらく管理局側だろう。いちいち相手にしている場合ではない』 『……分かったわ。一旦散って、いつもの場所でまた集合!』 シャマルの気にかかるもの、それは言うまでもなくマジンカイザーの存在だ。 蒐集を始める寸前まで結界内にいなかったはずの存在。シャマルでなくとも気にはなるかもしれない。 だがシグナムはそれを切って捨てた。管理局側だろうという一言で。 そしてシャマルも納得したのか、すぐに他の3人とは別々の方向へと転移していった。 「ユーノ、なのはをお願い」 フェイトはそう言うと、飛行魔法でマジンカイザーの前まで飛んで行った。 突然現れ、シャマルへと問答無用で攻撃を仕掛けた相手。その正体と目的を聞きだす必要がある。そう考えて近づいていったのだ。 ちなみに、万一戦闘になったときのために結界を改めて張ってある。先ほどまで張られていたものとは違い、管理局側からも内部の様子が見えるようになっている。 そしてマジンカイザーの前へとたどり着くと、型通りの質問を投げかけた。 「時空管理局嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサです。名前と出身世界、目的を教えてください」 ………………………… 沈黙。何一つ言葉を発しない。何を考えているのかフェイトも図りかねている。 このまま沈黙が続くのかと思ったが……次の瞬間、最悪の形で崩れた。 『Photon beam.』 デバイスらしき電子音とともに、目と思われる部位からの光線。おそらく魔力攻撃だろう。 間一髪かわし、改めて目の前の存在へと目を向ける。腕を前に出し、今にも攻撃をしてきそうだ。 この瞬間、フェイトの意志は目の前の存在を敵として認識。バルディッシュを構えた。 フェイトは知らない。このマジンカイザーがデバイスとバリアジャケットを装備した甲児だということを。 フェイトは知らない。転移のショックで甲児が気絶していることを。 フェイトは知らない。現在起動しているマジンカイザーのモード『魔』は、気絶した装着者に代わっての自立稼動モードであることを。 目次へ 次へ